複層ガラス（ペアガラス）とは？結露防止や防音効果はないのか？ガラス屋が解説

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複層ガラス（ペアガラス）とは

複層ガラスとは、2枚以上のガラスの間に中空層（空気層）を設けたガラスのことです。

複層ガラスは、ペアガラスとも呼ばれ、断熱効果を発揮します。

合わせガラスとは、2枚のガラスの間に特殊中間膜（フィルム）を圧着させたガラスのことです。

合わせガラスは、防犯や台風対策に効果を発揮します。

2枚のガラスの間に中空層があるかないか、が見分け方のポイントです。

また、ペアガラスは「二重ガラス」と呼ばれることもあるため、「二重サッシ」と混同されがちですが、これも別物です。

二重サッシとは、既存の窓の内側に新しく窓を取り付けたものです。

二重サッシは、「二重窓」「内窓」「インナーサッシ」とも呼ばれます。

窓と窓の間に中空層を設け、サッシの気密性を高めることで、熱や音を通しにくく、断熱・防音効果が期待できます。

ちなみに、2000年以降に建てられた住宅には、一枚ガラスではなく複層ガラスが使用されていることが多いです。

海外と比較すると日本は複層ガラスの普及が遅れていましたが、省エネ基準が改定され、消費者の環境意識の高まりも相まって、普及率が伸びています。

2010年以降は、ペアガラスの進化版であるLow-E複層ガラスが、新築戸建住宅で広く普及し、最近の新築共同住宅でも半数以上がLow-E複層ガラスを使用しています。

2022年時点の複層ガラスの普及率は以下の通りです。

複層ガラスとペアガラスとの違い

複層ガラスとペアガラス、その違いをご存知ですか？

ほぼ同じ意味だと考えていただいて問題ありませんが、厳密に言うと少し違うのです。

ペアガラスは複層ガラスの一種

「複層ガラス」とは、2枚以上のガラスの間に中空層を設けたガラスのことです。

「ペアガラス」とは、2枚のガラスの間に中空層を設けたガラスのことです。

つまり、ペアガラスは複層ガラスの一種です。

ペアガラスは、AGCというガラスメーカーの登録商標ですが、広く流通したのちに、「複層ガラス」の一般呼称として浸透しました。

そのため、ペアガラスと複層ガラスの呼び名が混在してしまっているのです。

AGCは3大ガラスメーカーのひとつであり、その他に日本板硝子株式会社の「ペアマルチ」、セントラル硝子株式会社の「セントレックス」も、ペアガラスとして有名です。

ペアガラスのメリット

ペアガラスのメリットは以下の2点です。

• 断熱効果が期待できる
• 片面のガラス次第で効果をプラスできる

断熱効果が期待できる

一般的なペアガラスは、2枚のガラスの間にスペーサーという部品を挟み、中空層には乾燥空気が密封されています。

中空層は熱を通しにくいので、窓ガラスから外の冷気や室内の暖気が出入りしづらくなります。

外気温に影響されず、暖房の効いた室内の温度を保てる、つまり断熱に効果的なのです。

中空層の幅を広くしたり、アルゴンガスを封入すると、断熱性能がより高まります。

片面のガラス次第で効果をプラスできる

一般的なペアガラスは、2枚のガラスのどちらにも普通の透明な板ガラスが使われています。

しかし、2枚のガラスのうち片面を、Low-Eガラスや合わせガラスに変更すれば、遮熱効果や防犯効果も得られます。

ペアガラスのデメリット

ペアガラスのデメリットは以下の4点です。

• ペアガラスに防音効果はない
• 一枚ガラスからの交換はサッシ交換かアタッチメントが必要
• ガラスフィルムを貼ると熱割れの恐れあり
• 経年劣化によりペアガラスが内部結露する

ペアガラスに防音効果はない

一般的なペアガラスには、防音効果がありません。

「低音域共鳴透過現象」というペアガラス特有の現象が生じ、低音域での遮音性能が下がります。

ペアガラスの中空層をバネにして音の振動が、ガラス→中空層→ガラスへと伝わってしまうのです。

一枚ガラスからの交換はサッシ交換かアタッチメントが必要

一枚ガラス（単板ガラス）からペアガラスに交換する際は、ガラスが厚くなるので、ペアガラス用のサッシが必要です。

既存窓が一枚ガラスだと、9mm～11mmの溝幅の一枚ガラス用サッシです。

対して、ペアガラスは3mm厚のガラス2枚の間に6mmの中空層がベーシックなので、最低でも総厚が12mmになり、一枚ガラス用サッシにはおさまりません。

専用アタッチメント付きの複層ガラスなら、サッシ交換をせずに交換できます。

サッシ面積が広くなるので、サッシの結露が目立ったり、小さい窓だと圧迫感が生じたり、というデメリットがありますが、サッシ交換よりお安く済みます。

なお、一枚ガラス用サッシの上にペアガラスが乗っかる形になるので、厚みのあるペアガラスだとサッシからアタッチメントがはみ出てしまい、網戸に干渉する恐れもあります。

ガラスフィルムを貼ると熱割れの恐れあり

ペアガラスに、飛散防止フィルムや遮熱フィルムなどの窓ガラスフィルムを貼り付ける場合には、熱割れにご注意ください。

特に、ペアガラスの一種であるLow-E複層ガラスは、熱割れの危険性が高まります。

飛散防止が心配なら防犯合わせ複層ガラスに、目隠しをしたいならペアガラスの片面を型板ガラスにすると良いです。

万が一、ペアガラスが熱割れした際には修理交換も承っておりますので、ご相談ください。

以下は、Low-E複層ガラスの熱割れの修理交換事例です。

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経年劣化によりペアガラスが内部結露する

ペアガラスは、中空層に乾燥空気やアルゴンガスが封入されており、封着剤で中空層を密閉しています。

しかし、封着剤の経年劣化により、隙間ができて密閉状態を保てなくなると、ペアガラスの内部に湿気や水分が入り込み、結露してしまいます。

これが、ペアガラスの内部結露です。

ペアガラスの内側が結露して曇ると視界が悪くなる上、断熱性能も低下します。

内部結露をどうにかしようと、ガラスにドライヤーを当てて乾かすのは、熱割れの危険があります。

ペアガラスを解体するのも、怪我の恐れがあるのでやめましょう。

一時的に自然乾燥で結露が改善するケースもありますが、乾燥空気が抜けてしまった状態では、根本的な解決になっていません。

複層ガラスの種類一覧

複層ガラスは、ガラスの種類や枚数、中空層の気体の種類などにより、性能と効果が異なります。

複層ガラスの主な種類5つを、ここで簡単にご紹介します。

ガラスごとの詳しい解説をご覧になりたい方は、以下の記事もご参照ください。

Low-E複層ガラス

Low-E複層ガラスとは、2枚のガラスの片面に特殊金属膜（Low-E膜）をコーティングしたペアガラスのことです。

Low-Eとは「低放射」という意味で、Low-E膜が熱の伝わりを抑えます。

Low-E膜のおかげで、ペアガラスよりも断熱効果が高く、遮熱効果もプラスされます。

Low-E膜が室外側のガラスにあると遮熱タイプ（日射遮蔽型・遮熱高断熱）、室内側だと断熱タイプ（日射取得型・高断熱）と区別しています。

真空ガラス

真空ガラスとは、2枚のガラスの間に真空層を設けたガラスのことです。

通常のペアガラスと大きく異なるのは、ガラスの間が「真空」になっている点です。

ペアガラスには乾燥空気やアルゴンガスが密封されており、熱を通しにくいですが、真空の方が熱を通しにくいのです。

つまり、ペアガラスより真空ガラスの方が、断熱性能が高いといえます。

さらに、ペアガラスより真空ガラスは厚みが薄いため、一枚ガラス用サッシをそのまま使ってガラス交換できる点も魅力です。

防犯合わせ複層ガラス

防犯合わせ複層ガラスとは、防犯合わせガラスを組み合わせたペアガラスのことです。

防犯合わせガラスとは、2枚のガラスの間に特殊中間膜（フィルム）を圧着させたガラスのことです。

フィルムがあるおかげで、ガラスが割れても破片が飛散しにくく、ガラスに穴が開きにくくなります。

フィルムの厚みが15ミル（0.4mm）、30ミル（0.8mm）、60ミル（1.5mm）…とあり、厚みがあるほど防犯効果が高まります。

防犯合わせ複層ガラスは、空き巣や泥棒の侵入手口である「こじ破り」や「打ち破り」を防ぎながら、断熱効果を高めることができます。

防音複層ガラス

防音複層ガラスとは、2枚のガラスの間に特殊な装置を搭載したり、2枚のガラスの厚みを変えたりして、遮音性能を高めたペアガラスのことです。

AGCのマイミュートは、2枚のガラスの中空層に、防音構造「レゾネーター」を搭載したペアガラスです。

YKK APの異厚複層ガラスも断熱･防音性能があり、厚みの異なるガラス2枚の間に中空層を設けたペアガラスとなります。

ただし、サッシの気密性が低いと、防音複層ガラスに交換しても効果はないです。

特に窓の防音は、サッシの気密性が重要となるため、当店では気密性の高い内窓リフォームをおすすめしております。

トリプルガラス

トリプルガラスとは、3枚のガラスと2層の中空層で構成されたガラスのことです。

ペアガラスよりもガラスと空気層が多いので、その分、断熱性能も高くなります。

北海道や東北地方などの寒冷地で使用されています。

トリプルガラスはガラスが分厚く、重量感もあり、価格も高い点がデメリットです。

内部結露のリスクも高く、寿命は10年程度といわれています。

【無料見積】複層ガラスの価格

2022年頃から続く、建築資材の価格高騰により、2024年現在も原価が変動しております。

また、出張場所や搬入場所、ガラスのサイズや種類などにより、価格が異なります。

そのため、当店では料金一覧表をご提示しておりません。

実際にかかる窓リフォーム費用につきましては、無料お見積もりにてお確かめくださいませ。

なお、当店では、自社内施工をすることで、中間マージンをカットし、お求めやすい価格にて複層ガラスの窓リフォームを承っております。

ぜひ相見積もりで他社様と比較してみてください。

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ペアガラスなのに寒い…真空ガラスがおすすめ

一般的なペアガラスは、それほど断熱性能が高いわけではないので、窓際の寒さを感じたり、窓周辺の温度や湿度次第では結露したりもします。

そこで、おすすめしたい窓ガラスが、真空ガラスです。

真空ガラス「スペーシア」なら結露防止にも効く

ベーシックな真空ガラス「スペーシア」なら、ペアガラスの約2倍の断熱性能で、結露防止にも効果を発揮します。

日本板硝子株式会社から現在販売されている真空ガラス「スペーシア」は、室温20℃・湿度60％のとき、外気温-26℃まで結露しません。

内窓に組み合わせると最強の断熱対策に

真空ガラス「スペーシア」を内窓に組み込んで二重窓を設置すると、より断熱性能が上がります。

以下の画像を見ると、普通の透明ガラスやペアガラスの組み込んだ内窓リフォームより、断熱効果が高いことがわかります。

内窓は樹脂サッシを使用しており、気密性が高いため、サッシからの熱と音の出入りも抑えられるのです。

断熱効果はほどほどに、防音効果を重視する場合は、ペアガラスやLow-E複層ガラスを内窓に組み込めば、真空ガラスを組み込むより費用を少し抑えられます。

複層ガラスに関するよくある質問